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第49回日税連公開研究討論会の内容と感想

「改正民法等が招いた税理士実務への影響について」

当日は秋晴れの中、名古屋東急ホテルで第49回日税連公開研究討論会が行われた。会場には全国からおよそ900人の会場参加者が集まり熱い討論が行われた。新型コロナウイルス感染症の感染症法状の位置付けが5類感染症となって初めての開催となり、昨年同様、会場型とウェブ型の2種類の方法で行われた。

会場では、席が満席状態でとても密だった印象があった。税理士の平均年齢が60歳代ということもあり、どの先生を見ても年上に見えて自分が未熟者に感じて若干居心地が悪かった印象がある。

「改正民法等が招いた税理士実務への影響について」は、3部構成で各小委員会が発表を行った。最初の内容は、「遺留分制度等をめぐる法務と税務の論点」について、旧民法の遺留分減殺請求が遺留分侵害額請求に変わったことにより、遺留分に関する権利が物権から債権に変わり、これにより税務上の取り扱いが大きく変わったという論点である。この件に関して、名古屋税理士会では、1.遺留分侵害額請求と譲渡所得税、2.相続税法による明文化、3.事業承継の実用性の確保を提言しており、民法改正による税制の影響についての重要な論点を検討した。

次の内容は、「配偶者居住権をめぐる法務と税務の論点」である。配偶者居住権を取得、保有、消滅の3つの観点から税務について検討を行った。配偶者居住権は配偶者が取得することにより2次相続では節税できるメリットがある一方、保有、消滅の点で問題が生じる。消滅では、対価を支払って解除した場合は、総合課税になってしまう点や無償により移転や合意による解除を行うと贈与税が課税されてしまう問題点が生じる。保有では、賃貸併用住宅の場合、当該不動産の収益を受ける権利は所有者が収受すべきか、配偶者が収受すべきかで論点なった。会場では、所有者は優位か、配偶者が優位か意見を求めたが、意見は半々となった。

最後に「ミュンヘン税理士会との交流」である。名古屋税理士会では2年毎に相互訪問を行っており日独の税理士制度や税制比較を行っている。今回は日独間の相続税や所得税の違いについて意見交換を行った。

今回の研究発表は、大変意義深く、とても勉強となった討論会だった。自分では到底気が付くことができなかったテーマを論点に挙げており、民法と税法の関連性や奥深さを学ぶことができた。会場まで行くのが大変だった(方向音痴のため)が来年も参加したいと考えている。

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